体の使い方の癖(体癖)はなぜ出来るのか
体の使い方には癖がある
故障を起こしたり、病気が起こる原因の一つに、体の使い方の偏りがあります。
この偏りは長い時間をかけていつの間にか身についてしまった「体癖」と呼ばれるものです。
ではなぜ、偏ってしまうのでしょうか。
人には基本体型というものがあります。
右利き、左利きがあるように、体を動かすとき優位に動く形で、先天的なものです。
骨盤の動きで見ると、基本的に前後と左右があります。
全身で見るとこれに上下と捻れが加わって7方向になります。

問題は「こわばって」しまうこと
動きの基本である骨盤の動きで見てみましょう。
前方型の人は行動を起こすとき、まず前方への力が加わります。
常に前方への動きが優位になります。
それ自体は、問題ではありません。
問題は「こわばり」にあります。
こわばりとは動きの停滞と考えてください。
赤ちゃんの頃の体は、とても柔軟です。
ところが年齢と共に、こわばって硬くなります。
筋肉も筋膜も、当然関節も。
手足の関節の動きが悪くなったのは、自覚しやすいものです。
ところが、背骨や骨盤など体幹の関節の動きは、
かなりこわばりが進まないと自覚しにくいのです。
問題は骨盤の動き
2本足で歩く人類にとって、問題の発端となるのは骨盤と背骨をつなぐ関節でしょう。
前方型の人が力を出す時は、骨盤を前傾させます。
本来は力を出すときは前傾、そうでないときは戻すという動きが必要です
ところが、こわばっている体では、骨盤の関節を前後に自在に動かすことが難しくなります。
骨盤と背骨をつなぐ関節などと言うものは、手足の関節のように意識で動かすことはほとんどありません。
そこに痛みでも無い限り、立ち上がろうとしたとき、行動の目的は意識しても、骨盤の関節を意識することはないはずです。

こわばりが進むと、前方型の人の骨盤は前傾傾向で固まります。
これが「体癖」と呼ばれる使い方の癖です。

前傾した骨盤を支えるために、背中側の筋肉に負荷がかかります。
これが背部痛や腰痛を引き起こす原因です。
前傾のバランスをとるために、肩を後に引こうとします。
これが「四十肩」を起こします。
常に前に力が加わるため、足の裏では指先方向への荷重移動が起こります。
これが外反母趾を引き起こします。
足先では支えきれない体を、歯を食いしばって持ち上げようとします。
虫歯でもないのに歯茎が痛くなります。
ひどくなると顎関節へも影響がでます。
悪いことだけをあげつらいましたが、「体癖」とは、こうして出来上がるという一つの例です。